SMARTCAMP Engineer Blog

スマートキャンプ株式会社(SMARTCAMP Co., Ltd.)のエンジニアブログです。業務で取り入れた新しい技術や試行錯誤を知見として共有していきます。

部長の40日間育休で子供もチームも成長した話

スマートキャンプ、エンジニアの入山です。

私は現在、弊社BOXIL SaaSの開発部長を務めており、開発タスクの管理やチー厶・メンバーのマネジメントを中心に行っています。

また、インフラエンジニアとして各プロダクトのインフラ構築に携わっており、社内で一番インフラを知ってる人という立ち位置も担っています。

そんな私ですが、今年の1月に子供が産まれ、40日間(約1ヶ月半)の育休を取得しました。弊社男性エンジニアとしては、3人目の育休取得となります。

今回は、私が取得した育休についてのお話をご紹介します!

また、エンジニア1人目の育休取得者である執行役員の過去記事も良ければご覧ください! tech.smartcamp.co.jp

育休について

育休取得に至った理由

私は妻と(現在は子供と)関東に在住していますが、お互いに実家が関東圏ではなく、出産にあたって以下の選択肢がありました。

  • 実家に帰省して里帰り出産
    • どちらに帰省するか
  • 現住居での出産
    • 両親のサポート有無

この選択肢は関東圏に限った話ではなく、現住居と実家が離れている方々は、ほぼ全員が悩むものだと思います。 どちらにもメリット・デメリットがありますが、初出産で不明・不安なことも多く、更にはコロナ渦という状況も考慮する必要があり、妻と何度も話し合いをして予定日の2〜3ヶ月前くらいまで悩みました。

そして、最終的に以下の理由が主な決め手となり、現住居での出産育休取得を決意しました。

  • 現住居が(偶然)産婦人科に近く、その産婦人科が良い病院だったこと
    • 徒歩で10分程の距離
    • 希望していた無痛分娩が可能で費用も安い
    • (コロナ渦でも)出産立ち会いが可能
  • 里帰り出産を選択することによるストレス要因を避けたかったこと
    • (2人で里帰りの場合)どちらかは相手の両親と同居となるため、両親含め気疲れしそう
    • (妻だけ里帰り場合)妻の実家に通うことになり、コロナ状況も踏まえると産後に子供に会えない期間が発生する可能性がある
  • 育休を取るイメージが容易にできたこと
    • 弊社エンジニア組織で2人育休を取得した実績がある
    • 親のサポートはほぼ得られないが、育休を取得すれば2人で何とかできそうな気がした
    • 2人で協力して頑張る決意を固めた(大事)

現住居での出産の場合、両親が泊まり込みで来てサポートして貰うという話も聞くのですが、出産のタイミングでコロナ感染者が増加していたことや両親の仕事や家庭の都合もあり、基本的には両親に頼らず2人ですべてやり切る選択をしました。

この選択については、育休取得が前提となっているため、育休が取得しやすい環境であることが本当に有り難いと感じました。

弊社エンジニア組織の育休事情

弊社エンジニア組織における男性育休事情は以下となっています。

  • 育休取得率:75%
    • 3人取得(4人出産)
    • 取得者の1人は執行役員

エンジニア1人目の育休取得者は現執行役員であり、環境的にも雰囲気的にも育休が取得しやすいです。

育休取得期間

育休取得期間については、制度として数日〜数ヶ月まで基本的に自由に決めることができます。

私の場合は妻と2人で育児を行なう前提もあり、産後の退院に合わせて育休を開始して、1ヶ月の期間を目安に復職日を調整する予定としていました。出産が予定日から前後することも多く不明確なため、育休開始日や復職日は都度調整が必要です。

実際に私は出産前から退院までの期間で最終調整を行っており、当初1ヶ月を育休予定としていましたが総務の方のアドバイスもあり、1/24〜2/28(復職日:3/1)まで、40日間の育休取得に決定しました。

アドバイスは、育休期間中は社会保険料が月単位で免除されるが、中途半端な期間(完全育休の月がない)で復職すると免除が受けられないという内容でした。私の例では、当初の予定(1ヶ月:1/24〜2/23)だと2/24に復職となり1月も2月も労働日が存在するため、社会保険料が免除されず満額徴収されるだけでなく、2月分の給料は残りの3営業日分しかないため、損をしてしまいます。そのため、2月末まで育休にして復職を3/1にした方が良いとのことでした。

上記は一例ですが、育休に限らず制度の理解不足で損をする可能性もあるため、総務の方や制度について詳しい方へ相談し、疑問点を解消しながら話を進めることをお勧めします。

育休前の業務内容

冒頭でも少し触れましたが、私はBOXIL SaaSの開発部長としてのタスクだけでなく、スポット対応のインフラ業務や開発部の共通基盤管理も担当しています。

育休へ入る前のタイミングでは、主に以下の業務を担っていました。

  • BOXIL SaaS関連(定常)
    • タスク・スケジュール管理
    • 他部署との調整
    • マネジメント
      • チーム(3人×2チーム)
      • 各メンバー
        • 目標設定・評価
  • インフラ関連(スポット対応)
    • Terraform管理・反映
    • プロダクト丸ごとのインフラ・運用移管(完了直後くらい)
    • インフラも関連するパフォーマンス課題対応(緊急対応中)
  • 共通基盤関連(頻度低)
    • アカウント管理

全体的に他のメンバーへ急に任せられるものは少ないのですが、特にインフラ関連と共通基盤関連に関しては技術領域的な面や組織内での権限、属人化した仕組みなどの要因により、意図せず私に依存した業務が多く存在しました。

育休への準備

育休取得については、出産予定日の2〜3ヶ月前に決定し、上長や業務上関わりが深いメンバーを中心に周知を進めていきました。その後、1〜2ヶ月前からは業務の何割かを育休に向けた整理や引き継ぎに使い、基本的にすべての業務において私が不在でも最低限困らない状態を目指しました。

当たり障りのない内容が多いですが、育休に向けた準備や取り組みの一部をご紹介します。
(育児関連はやることリストみたいになっている…)

業務関連
  • 属人化業務の標準化
    • ドキュメント化
    • 環境や仕組みの整備・改善
    • 他メンバーへの共有
      • なるべく実際に手を動かしてもらう
  • 業務の権限移譲
    • 基本方針は自チーム(BOXIL SaaS)のメンバーで補う
      • タスク管理やチームマネジメント業務は、サブリーダーに一任(上長や他の部長・リーダーに頼らない)
      • 他部署との調整やPJ推進は担当メンバーを中心に行い、全体管理はPdMに一任
      • 直近で動いてるPJは担当をメンバーへ引き継ぎ
    • 評価周りやメンバーマネジメントは、上長や他の部長に代行してもらう
  • 会議体の整理
    • 会議の目的や役割、出席者などを見直し
育児関連
  • 情報収集
    • 制度
      • 産休・育休
      • 給付金
      • 子育て支援
      • 税制・社会保障
    • 病院
      • 設備・対応(無痛分娩など)
      • 費用
    • 保育園
      • 探索
      • 保活
  • 育児準備
    • 名前検討
    • 消耗品・生活用品
    • ウォーターサーバー(同僚のお勧め)

育休中を振り返って

業務関連

育休中に業務へ顔を出した機会は、正直2回ありました。

  • 育休前にパフォーマンス課題の緊急対応中だったプロダクトの本番稼働
    • 呼び出しではないですが、育休開始直後の本番稼働で気になったのでこっそり見てました(自己都合)
    • 無事に本番稼働を見届けて一安心で育休へ
  • 共通基盤(VPN)の障害
    • リモートワークでの開発環境アクセスはVPNを導入していますが、VPNへ繋がらない障害が発生し、エンジニア全体の開発に影響があったため、VPNの仕組みに一番詳しかった私にもヘルプ依頼が来ました
    • 結果的には開発端末のセキュリティソフトのVUPに伴う不具合で、メンバーが発見・対応してくれました

これ以外では、40日間一切業務に関与しておらず、slackもほとんど見ていませんでした。 事前準備が上手く機能した部分もありますが、各業務を任せたメンバーたちが頑張ってくれたおかげで育児に集中でき、本当に感謝しています。

育児関連

育児のトピックを振り返ると、以下のような出来事がありました。

  • 出産〜退院
    • 無事に立ち会い出産(分娩室のみ)
    • 宿泊型産後ケア制度を利用して入院を2泊延長
      • 授乳・沐浴の講習や夜間の授乳などを産婦人科で支援してもらえる制度(県や市が費用の一部を負担)
      • 妻の体力回復と助産師さんの支援を受けながらの育児練習が目的
  • 育休前半
    • 産後の妻の体力が低下していたため、子守・授乳以外の全家事を担当
    • 素人なので育児すべてが大変
    • 夜間対応を試行錯誤
      • 2人で対応したり、交互で対応したりを試すが2人共睡眠不足で辛い時期が続く
    • 寝かしつけにバランスボール導入
  • 育休後半
    • 妻の体力回復に合わせて少しずつ家事を分担
    • 夜間対応のスタイル確立
      • 3時間の授乳間隔で寝る→起こされるを繰り返すのが辛いと気付く
      • 夜間は寝ずに朝まで対応→朝方妻に交代→昼まで寝るのスタイルに落ち着く
    • ネムリラ(自動で揺れるやつ)導入で寝かしつけがより楽になる
    • 1ヶ月検診・お宮参り・写真撮影

宿泊型産後ケア制度は、活用してとても助かったのでお勧めです。
また、子供の寝かしつけで最初はバランスボールを使っていましたが、後半はネムリラを導入して身体の負担がかなり楽になったのでそちらもお勧めです。

復職後に感じたこと

復職後に感じたことはいくつかありますが、特に強く感じたのは以下の2点でした。

40日でチームやメンバーは変化・成長する

変化としては良い面も悪い面もあったのですが、育休前にイメージしていたよりもチームが変わったなというのが率直な感想でした。

弊社では1週間を1スプリントとしてスクラム開発を行っており、毎週振り返りと改善に取り組んでいます。内部で一緒に取り組んでいると大きく変化している実感はあまりないのですが、毎週1つ改善していれば40日だと5つくらい変化が起きているはずで、それをまとめて体験すると「かなり変わったな」と感じます。毎週の改善をチームで積み上げていくことの大事さにあらためて気付きました。

また、自分が担っていた業務を各メンバーに任せたことで、メンバーの動き方に変化があったり、成長を感じられる側面もあり、強制的な不在きっかけですが視座の変化や各々の成長に繋がる良い機会になったのだと感じました。 実際、育休をきっかけに自分の手を離れた業務があったり、復職後に助かっていることも多いので、とても嬉しい変化や成長でした。

例えば自分がいる状況で中途半端に口出ししつつ権限や裁量を十分に渡しきれていない状態で任せるよりも、今回のように完全不在ですべて任せる方がメンバーには良質な成長機会になることをあらためて感じました。

今後メンバーに業務や役割を移譲する際は、中途半端ではなくメンバーが責任を持ってやり切れる環境を可能な限り用意しようと思っています。

40日休むとさすがに浦島太郎状態になる

育休前は満遍なくプロダクトの開発全体を把握していたはずの私ですが、復職時には何がどうなっているのか全く分からない状態になってしまいました。40日不在だったので仕方ないという部分はもちろんありますが、復職当初はロードマップやリリース報告、タスクリスト、Sprint Reviewの内容を追っていけば、すぐにキャッチアップできると考えていました。しかし、現実はそう単純なものではなく、しっかりとSlackで経緯を追ったり、人に説明して貰ってのキャッチアップが必要でした。

キャッチアップに時間が必要な要因としては、背景や経緯の欠如による情報の欠落が大きいと考えています。今までは背景や経緯がインプットできる状態になっていたため、安易に全体の把握や理解ができていたことに気付きました。 また、この情報の欠落は自分以上に他のメンバーが今まで暗黙的に感じていたのではないかとも思いました。各メンバーがタスクの背景や経緯をしっかり理解できる状態を作ることで、タスクへの理解も深まりチームとしてより良い動きができるようになると思うので、今後改善していきたいと考えています。

まとめ

今回は私が取得した育休についてのお話をご紹介させていただきました!

現在は復職から丁度1ヶ月が経過し、リモートワークだけでなく出社日でも子育てと仕事の両立に慣れてきました。
また、子供もすくすくと成長し、笑ったり喋ったりと日々人間味が増してきており、可愛いさに癒やされています。(もちろん辛いこともあります…笑)

育児は会社や家庭の環境にも大きく左右されるものなので、参考にならない部分も多いかと思いますが、育休取得の一例として少しでも参考になれば幸いです!