こんにちは、スマートキャンプの徳田です。
みなさんの会社ではテックブログやってますか?
昨年12月16日に、「エンジニア採用の最前線 メルペイとスマートキャンプが語る!採用につなげるテックブログ運営の秘訣 」というオンラインイベントが開催されました。
メルペイ社と弊社スマートキャンプのブログ運営担当が登壇し、それぞれブログをどういう考えで運営し、どう執筆者と連携を取っているかをディスカッション形式で話していました。
本記事はイベントレポートとして、トピックと話していた内容をまとめたものとなります。
- 登壇ゲストについて
- 「テックブログの立ち上げの背景、社内での位置付けは?」
- 「ブログの運営体制、役割分担、記事発信までのフロー」
- 「採用への貢献はあったか」
- メルペイ 安藤さん:
- 松岡さん(モデレータ。Findy)
- 「執筆者のモチベーションの維持をする方法」
- 「これからブログを初める人たちに向けて」
- まとめ
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登壇ゲストについて
株式会社メルペイ 安藤喜子さん
メルペイ Engineering Office Team 所属。2018年にメルカリに入社し、一年前ぐらいからメルペイに。
メルペイ社外発信の強化や社内組織活動などが役割。
社内の『社外発信は正だ』という雰囲気、文化がとても良いと思っている。
スマートキャンプ株式会社 中川 眞誠さん
スマートキャンプ株式会社 ソフトウェアエンジニア。2019年入社。前職はSIer。
一年前(2019年12月辺り)からTechBlog担当に。
ここからは、イベント中にお話されていた内容のメモとなります。
「テックブログの立ち上げの背景、社内での位置付けは?」
メルペイ 安藤さん:
- 立ち上げ背景
- 当時のメルカリCTO 柄沢さんが2015年くらいに立ち上げ。勢いでスタート。
- 柄沢さん「技術力がある、強い人が多い組織はテックブログをしている」
- これまでGREE、株式会社クロコスでのブログ立ち上げも経験がある方
- 今も続けている理由
- アウトプットは正義だから。
- 技術力つよつよのアウトプットも良いが、アウトプットすること自体良いこと
- そういうカルチャーを作ることが大事で、立ち上げた柄沢さんが退職した後もその文化が残っている
- アウトプットすると自分たちの学びになるし、世の中のためにもなる
Q: 「どれぐらい採用目的を意識していますか?」
- どれぐらい意味あるんだろう?と思って直近半年入社した人にブログ見てるか聞いたら全員見ていた
- すごい読んでいた、ためになりました というポジティブな意見や、
- マシンラーニングといった内容は最近までちゃんとアウトプットしていなかったので、「タグが無いんだ...」という意見も聞いた
- アトラクトの意味はあるのかなと思っている
- (※ アトラクト...自社に興味を持ってもらい、内定承諾をしてもらうための活動)
スマートキャンプ 中川さん:
- 立ち上げ背景
- 安藤さんと同じく、立ち上げを自分がやったわけではなく、立ち上げた前任者から引き継いで担当している。以下は前任者から聞いた内容。
- エンジニアブログやっている会社は技術に理解がありそう、エンジニアが中で活躍していそうなイメージがあった
- そもそも個人で技術情報を発信できているエンジニアが社内には少なく、それを増やしていける土台にすると個人のためにもなりそう
- 1〜2年前は採用活動でかなり苦労していて、採用が進んだ後に「他社のほうが成長できそうだから」という理由で自体されることが多かった
- toBのビジネスなのでアプローチが難しく、どういったことをしているのかを伝えられるようにブログを始めた
- 安藤さんと同じく、立ち上げを自分がやったわけではなく、立ち上げた前任者から引き継いで担当している。以下は前任者から聞いた内容。
- 採用目的
- メルペイ社と同じくアトラクトの狙いが大きい。認知を増やすという狙いもあるが、どちらかと言うとアトラクトのほうが重要。
「ブログの運営体制、役割分担、記事発信までのフロー」
メルペイ 安藤さん:
- 役割分担
- ブログそのものの開発担当
- WordPressを使っていて、現在は書き手からのWordPress改善リクエストに答えている
- ブログの推進担当 (安藤さん)
- 執筆頻度、技術領域のアウトプットの偏りなどを見て、少ない領域を書いてもらえるように社内で調整したりする
- アドベントカレンダー、夏の特集記事といった企画のリード
- 執筆する上でのガイドラインを作ったりもする
- レビュワー
- 記事の質を高めるために、書き手のチームメンバや社内の有志が担ってくれている。
- 書き手
- ブログを書いてくれる人。
- 締切の期限といったものは設けていない。クォータごとにアウトプットしたい領域がある場合は、それまでに書いてほしいといったことはある。
- 公開の3日前までにレビュワーにレビュー依頼を出してもらい、修正してもらう
- ブログそのものの開発担当
Q: 「なんでWordPress?」
- 今年の7月ぐらいまでははてなブログを使っていたが、テックブログ以外のカルチャーといったものも含めた大きなWebサイトを作ることにしたため
- engineering.mercari.com
Q: 「スマキャンはエンジニア全員がブログを書いているけど、メルペイはどれぐらいの人が書いているの?」
- 2〜3割ぐらい...?
- 2020年8月にやったブログ連投企画では、そこで初めて書いた人が12人ぐらいいた。書いたことがない人は結構いる
スマートキャンプ 中川さん:
- 執筆を担当する人
- 社内にエンジニア・マネージャが合わせて12人ぐらい居て、それぞれ3ヶ月に1回ぐらいは書く
- 持ち回り制でやっていて、定期的に担当が回ってくる
- 運営は二人
- はてなブログで運営している理由はよくわからない。エンジニアブログははてなブログで運営されているイメージがあるから?
Q:「担当制だと書かない人とか出てこない?」
- 今のところ逃げる人は幸い居ない
- みんなの協力によって成り立っている
Q: 「書いてもらうための取り組みは何かある?」
- ハードルを下げるための取り組みとして、運営メンバの週次MTGに執筆予定者を呼んで、テーマの相談をしたり、アウトラインをその場で決めたりしている。
- 最近始めた良かった取り組み。とっかかりとして書きやすくなる
「採用への貢献はあったか」
スマートキャンプ 中川さん:
- 定量的な成果は出していないが、新卒・中途ともに認知の向上は実感している
- 中途採用ではブログを見て会社を知ってくれた人がいた
- 2年前にブログを作って、ペースを維持しつつ途切れずに更新できている組織だということを評価してくれることもある
- 始めた理由の一つでもある、技術的に成長できなさそうで辞退されるようなケースは明らかに減っているため、効果はありそう
メルペイ 安藤さん:
- 他のオウンドメディア「メルカン」ではJDページへの流入数は見ているが、テックブログはJDへの流入数は見ていない。
- Job Descriptionにそのポジションに関係のあるバズった記事を載せておくと、応募者が事前に読んで理解を深めてきてくれる。そういう使い方をしている
- HRに「このJob Descriptionにつける良いエントリありませんか?」って聞かれる
- 社内の採用担当への協力という意味の効果はある
- カジュアル面談に見せたりもする
- スカウトで一緒に「今度こんなイベントを開催します」と送る際に、そこで登壇する人のエントリを一緒に共有したり
松岡さん(モデレータ。Findy)
- やり初めてやめちゃう会社が多い。
- アトラクトに徹する目的のほうが続きやすくて、ブログからの応募数を基準にしちゃうと続かない。
- SEOコンテンツマーケティングとは違うものなので注意
「執筆者のモチベーションの維持をする方法」
メルペイ 安藤さん:
- 重要だが本当に大変。
- 上から、下からの両方を実施している。
- CTOやVPoEが "なぜ技術広報をやるのか" というドキュメントを書いたり、All Hands(週次定例)で定期的に発信したり、ブログ書いたり、すでに社外発信している人に社外発信についてのLTをしてもらったり...
- 安藤さんは数字と定性を書いた人にフォードバックしたり、書いてもらった人に書いたモチベーションを聞いて改善したりする
- 書き手のモチベーションは人によって様々なので、色々な方向の施策を考える必要がある
- チームメンバから書かないの?って言われたり、「この仕事の話ブログにすると良さそうだけど誰か書かない?」みたいな話が社内であって良い傾向
- 良い記事を書く必要は無い、というのを伝える
- 「マサカリが怖い」という話 (※ マサカリ: 内容に対する鋭い、厳しい指摘のこと)
- 社内の技術に強い人々がレビューしてくれるから大丈夫だと伝えている
- それでも怖い、不安だという人は怖くなくなるまでそっとする
- 評価対象に入れることを明言している
スマートキャンプ 中川さん:
- 日頃モチベーションを高めるための施策はしていない。できていない。
- これまでマンパワー・気合で何とか書き続けていたため、それを解消するために持ち回りにしてモチベーションに左右されないようにした
二人への質問
Q: 法務に関するレビューはしている?
- 中川さん「特にチェックしていない」
- 安藤さん「PRレビューの仕組み自体はあるが、テックブログにおいては必須ではない。エンジニアによるレビューがPRレビューの代わり。ただ、連投企画のときはスポットで知財チームによるレビューを入れている」
Q: 業務時間は使って良い?
- 安藤さん「社外発信はすべて業務時間。イベントなども該当。本業に影響が無いようにしてもらって、忙しければ代打を用意したりすることもある」
- 中川さん「良い。業務に元々組み込んでいる」
Q: 執筆者は1記事にどれぐらいの時間をかけていますか?
- 安藤さん「人によりますが1記事あたり1日ぐらい」
- 中川さん「丸一日ぐらい。レビューの手戻り次第によって上下はある。一日で平均5000文字ぐらい書いてもらっている」
「これからブログを初める人たちに向けて」
メルペイ 安藤さん:
- 自社なりのやる意味を決める必要がある。トップが会社としてブログに理解があり、やることが良いことだという状況になっていることが重要。
- ある程度会社自体に余裕が無いとできない施策だと思う
- 会社の上部とちゃんと位置付けを握っておいて、伝えていくことが大事
- やってみて、半年ぐらい更新が無かったら閉じるといったルールを決めて始めるのも良いと思います。
- 社員が書く必要があるので難易度は他のメディアよりも高いが、社会的な意義は大きいし意味もあるものです。
スマートキャンプ 中川さん:
- なぜやるのかを明確にするのが一番大事。やり始めると大変なのでちゃんと理由がないと続かない
- 継続しないと放置されているブログができて見られ放題になるというリスクがある。マイナスプロモーションにならないように注意。
- 見切り発車は良くない
レポートは以上です。
まとめ
いかがでしたか?
私はメルペイさんとスマートキャンプの運営方針の違いが興味深く感じ、会社の規模・フェーズの違いによるものかな...?と、楽しみながら聞くことができました。
社内でテックブログを運営している人、これからしようと考えている人の参考になると幸いです。