スマートキャンプのプロダクトマネージャーの郷田です。
皆さんは普段の業務で、以下のように感じる場面はありませんか?
- 「同じチームで働くあの人と、いつもなんだか認識がずれてるかもと感じる」 - 「一通り会議はやったものの、なんだかいまいち話しきれてないようなモヤモヤがある」 - 「あの人にはもっと注力してもらいたいことがあるのに、なかなかそこまでやってもらえない」
こういった場面に遭遇したときには、リーンコーヒーを実施されることをおすすめします!
この記事では、チームのMTGで活用してみていただきたい「リーンコーヒー」を紹介します。
- リーンコーヒー(Lean Coffee)とは?
- リーンコーヒーの進め方
- 初めてのリーンコーヒーでのハマりどころ
- リーンコーヒーの強み
- リーンコーヒーの弱み
- 状況に合わせて、リーンコーヒーを活用する
- まとめ
リーンコーヒー(Lean Coffee)とは?
アジェンダの無いMTGと呼ばれている会議形式のことです。 リーンコーヒーには、MTGのアジェンダの作成からその議論までをMTG時間内で効果的に行うことができる進め方が準備されています。
詳細は、本家サイトも是非ご覧ください。
Lean Coffee | Start one in your city!
ここでは、誰もが実施しやすく理解しやすいものとなるように、私が普段から活用しているアレンジした形式でのリーンコーヒーを紹介します。
リーンコーヒーの進め方
リーンコーヒーはとてもシンプルです!
リーンコーヒーは状況に応じて細かい進め方を変更したり、前後に別のアクションをとったりできるのですが、ここでは一番簡単な方法を紹介します。
準備するもの
まずは、リーンコーヒーをする上で必要となるものを紹介します。
オフラインMTGの場合
- 付箋
- サインペン
- ドットシール
- タイマー(スマホでOK。音が鳴るものがおすすめ)
オンラインMTGの場合
- 共同編集ができるホワイトボードツール(Miro、FigJam、jamboard、Googleスライド、等)
この会議では、アジェンダを自分たちで決めていくので、効率化のために付箋やサインペンを利用します!
Miro等のツールを使うことで準備物なく簡単に実施することができるので、オフラインのMTGでもホワイトボードツールを使うのもありだと思います!
その1:トピック出しと優先順位の決定(5分~15分)
①この会議の参加者で話したいトピックを、付箋に書き出します。
- 書き出す時間は2分で、タイマーで測ります。
- 時間が長いと、一人のトピック数が増えMTG時間が長くなるので、一人あたり1〜3トピック程度考えられる時間にするとMTG進行がスムーズになります。
- 参加人数が5人より多い場合は、1分でも十分です
②各々が書いたトピックを参加者に紹介します。
- 各トピックについてディスカッションするかは後で決めるため、ここではトピックの背景・話たいことを1トピック15秒程度でサクサクと共有していくのがおすすめです。
③すべてのトピックに対して、この参加者で話したいことにドット投票(1人3票)をします。
- 話したいものに投票しましょう。この後の議論を効果的にする上でとても重要なポイントです。
- トピックのディスカッションをすることが重要なので、ドット投票も1分のタイマーで締め切るのがおすすめです。
④投票数が多いものから並び替えます
- 同票だったものも、悩まず順番をつけましょう。リーンコーヒーでは網羅的にトピックを話せるので同票内での並び順に大きな差はないです。
ここまででトピック出しが終了です。 テキストに書くと長いのですが、実際のアクションは画像の通りなのでとても簡単なプロセスになります。
その2:トピックのディスカッション(10分〜45分)
以下画像の1トピックのライフサイクルに合わせて、優先度の高いものから1トピックずつ話していきます。
1トピックのライフサイクルをテキストで書くと以下の流れになります。
- 並んだ優先順位の一番上のトピックの話をします。
- タイマーを5分間に設定し、制限時間内でトピックの話をします。
- 制限時間に達したら、会話を継続したい人はグッドサインを出します。
- 半数がグッドサインを出した場合、タイマーを3分で継続してトピックを話します。半数がグッドサインを出さなかった場合、次のトピックに移ります。
- 制限時間に達したら、会話を継続したい人はグッドサインを出します。
- 半数がグッドサインを出した場合、タイマーを1分で継続してトピックを話します。半数がグッドサインを出さなかった場合、次のトピックに移ります。
- 制限時間に達したら、次の優先順位のトピックに話を移ります。
これを、MTG時間の終わりまで繰り返します。リーンコーヒーはたったこれだけの軽量な会議形式です。
初めてのリーンコーヒーでのハマりどころ
継続するかの判断をせずに会話を続けてしまう
5分・3分・1分経過した時点で、会話をしている途中でもすぐにグッドサインをしてもらうルールがあります。
しかし、会話の切れ目を見つけられず、タイマーが鳴っても会話をしたくなってしまいズルズルと話してしまい時間を守れない場合があります。
参加者は全員ルールを厳守し、誰が話していたとしてもタイマーが鳴ったらグッドサインを出すか確認しましょう。
9分(5分+3分+1分)が経ったけどまだ会話を続けてしまう
トピックの最後の1分が終わり、タイマーが鳴った後も継続してそのまま会話を続けたい場合があります。
リーンコーヒーでは複数のトピックを網羅できることが良さの一つなので、そのままトピックを変えずに会話することはあまり良くありません。
そのような状況が繰り返される場合は、9分(5分+3分+1分)を超えてトピックを継続したい場合のルールを決めておくことがおすすめです。
(リーンコーヒーとは別時間で実施する、重要なテーマなら最後5分追加する、etc...)
リーンコーヒーの強み
参加者の興味が強いトピックを網羅的に話せること
進め方どおりの流れで実施できた場合、1時間のMTG時間内で話したい5トピック程度のディスカッションをすることができます。
そのため、参加者が興味のあるテーマを網羅的に話せるので、参加者間で認識を共通化したり、課題をディスカッションすることができます。
参考として、図の例では45分間で6トピックについて話せている様子です。
アジェンダが決まってないMTGでも時間を有効的に使える
急遽開かれたMTGでは悶々として終わることも多いかと思います。
リーンコーヒーでは議題決めを簡潔に行い、より詳しく話したいトピックは長く話せ、そうでないトピックはすぐ終わる仕組みとなっています。
また、進め方は簡単なため、リーンコーヒーを知らない人でもその場で教わりながら実施できるので、急遽参加することになった人でも大丈夫です。
個人の興味とチームの興味を分けられる
トピックの洗い出しから優先順位を付ける工程では、MTGの参加者全員で話したいことに投票します。
そのため、全トピックに関して自身の関心事と他人の関心事の違いが優先順位をつけたタイミングで理解できます。
参加者の興味関心がわかれば、自身の振る舞いやネクストアクションの参考にすることもできます。
リーンコーヒーの弱み
1つのトピックについてより踏み込んだ会話が必要なとき
複数のトピックを網羅的に話してく進め方のため、既知の共通の課題を深く突き詰めて行くMTGなどでは逆効果となります。
もしトピックの中で短い時間では話しきれないテーマがでてきたら、必要な参加者のみで別MTGを設定するなどのアクションをとることをオススメします。
状況に合わせて、リーンコーヒーを活用する
チーム内の認識をあわせる
「同じチームで働くあの人と、いつもなんだか認識がずれてるかもと感じる」
そう感じた場合、チームとして同じ方向を向いていない状況の可能性があります。
そのため、以下のようにリーンコーヒーのカスタマイズをすることをおすすめします。
- トピックにテーマを決める
- 「チームでモヤモヤすること」などのテーマを決めることでチーム内の疑問を解消しやすくなります。
- トピック出しの時間を5分間程度まで伸ばし、上がったトピックをグルーピング化する。
- モヤモヤしてることを書き出すだけでも課題の自己理解になります。
- トピックが多くなるので、グルーピング化することで幅広いトピックが話せるようになります。
- 1トピックの議論時間を、3分・2分・1分にする
- 1トピック最大6分になるので、より多くのトピックについてチーム内の疑問を話すことができます。
通常の会議を補足する
「一通り会議はやったものの、なんだかいまいち話しきれてないようなモヤモヤがある」
そう感じた場合、会議内ですべてのアジェンダが網羅されていない可能性があります。
そのため、以下のようにリーンコーヒーを組み込むことがおすすめです。
- 一番モヤモヤする会議の最後に「リーンコーヒー」を入れ込む。
- 会議の最後20分ぐらいをリーンコーヒーの実施時間として入れる。
- 直前まで会議でモヤモヤしているはずなので、一番話したいトピックを挙げやすいです。
- 一人が出せるトピックは1つだけにする
- 20分と短い時間なので多くトピックを挙げることより、重要なトピックを多く話すほうが重要です。
メンバーの指向性を把握する
「あの人にはもっと注力してもらいたいことがあるのに、なかなかそこまでやってもらえない」
そう感じた場合、相手は他のことを課題と思っているなどの、現状を正しく認識できていない可能性があります。
そのため、以下のようにリーンコーヒーと振り返りを実施することがおすすめです。
- 1時間のリーンコーヒーを行い最後に、Tryを決める。
- この1週間でできそうなTRYを最低で1つから最大で3つまで決めることで、目の前の課題をなくしていけます。
- 翌週から週1でKPTをやる
- KPTを週1回実施することでチームの現在の課題や取り組んでいるものが明らかになり、状況を把握しやすくなります。
- KPTにより週に1回のTryをまわしていくことで、目の前のTryの繰り返しにより本来解決すべき問題に目が向けれるようになります。
KPTに関しては、別の記事も参考にされてください。
まとめ
今回はリーンコーヒーの紹介をさせていただきました。
リーンコーヒーにより多くのチームがより成果を上げられるようになれば幸いです!