スマートキャンプの郷田です。 先日、本年度のpmconfに参加させていただきました。
pmconfとは、2016年から年に1度開催されるプロダクトマネジメントに携わる人たちが学び・切磋琢磨する場が提供されるカンファレンスです。
私は昨年のpmconf2019から参加させていただいているのですが、昨年のカンファレンスで得た知見を実際にこの1年実践してきたものを紹介したいと思います。
pmconf2019への参加まで
もともとの弊社はプロダクトマネージャー不在で、この役割を複数人で担っている状況でした。
また私も、プロダクトマネージャーという役割を全く知りませんでした。
そんななか、自身が事業に関わっていく中でPMが必要かもしれないと気付き、社内で自称PMと名乗るまでについては以下記事にまとめて書いております。
https://tech.smartcamp.co.jp/entry/2019/09/20/201824
自称するようになりPMに関連する書籍を読んだりはしていましたが、PMがどういった役割なのか自分ごととして噛み砕いて理解できていない状況が続いていました。
そこで、PMとは何か?を学ぶためにpmconf2019に参加させていただきました。
実際に他社でPMとして働かれている先人の考えと行われてきた施策を知り、参加後は得た学びを実際に現場で試してみていました。
実際に参加したセッションごとで、学び・実践してきたことの一部を以下紹介いたします。
岡田 康豊さん:“失敗事例で学ぶ” 失敗しないプロダクトマネジメント - PMの必須スキルと、自走する組織のつくりかた -
PMは「やれることは何でもやる!」ことを求められる役割かと思いますし、私自身もそのスタンスで業務をしています。しかし、やれることを何でもやるためには一定のスキルが必要になるものの、どのスキルをつけていけばいいかは常に迷っておりました。
岡田さんはPMのテクニカルスキルをPM SkillChart HEXとして6つのスキル領域に分けて定義されております。
こちらのセッションを元に、自身の経験ができていないスキルを理解することができました。
自身に当てはめた時、明らかに足りていなかったスキルであるDesign領域に関してはこのセッションをきっかけに実務として行い、最低限のデザインスキルはつけることができました。
- Figmaでのプロトタイプを自身で作成し、仮説検証に利用する
- 開発着手後のデザインに関するエンジニアからの壁打ち
- 受け入れ確認時にデザインに関する詳細なフィードバック
実際にデザインを作ることで今までデザイナーが抱えている課題を身をもって経験でき、デザイナーの視点を身につけることでプロダクトの仮説検証、開発量フェーズでの効率化を推進することができたように思います。
また、PM SkillChart HEXに関して別の利用用途ではありますが、PM以外の人に「今、私が何のスキルを伸ばそうとしているか?それはなぜか?」といった説明も簡潔に行えるようになり、今でも非常に重宝しているスキル定義となっております。
小城 久美子さん:プロダクトの強い軸を作るプロダクトマネジメントフレームワーク
紹介されているインセプションデッキはすでに実施しており、また他のフレームワークも認識はしておりましたが、各フレームワークの役割や繋がりまでは体系立った理解をできておりませんでした。
こちらのセッションでは、フレームワーク毎の関連とその使い方の事例が紹介されていましたため、今の事業に必要ではあるものの実施できていなかったフレームワークを明確にすることができました。
セッションでの学びを元に、すでに仮説立てをしていた機能に関して、それまで実施できていなかった以下のようなことを行いました。
- 実ユーザーを元にロールごとでのペルソナの定義
- ペルソナ毎でのバリュープロボジションキャンバス作成
- Whyを元にCoreとのFitを確認
- Whyを元にユーザーストーリーの作成
これらにより、仮説の納得度が上がり、それまでと比べて解決策がとてもシャープになったように思います。
実際にこれらを行った仮説をユーザーに当てたときの反応が段違いに変わったため、今はこのサイクルのスピードと精度を高めていくことに注力しています。
二木 祥平さん:LINEにおけるお金とユーザーのジレンマ
当時のプロダクトの状況はPSFを探す段階でもあるため、混沌とした状況でプロダクト作りを推進していました。
人数も少なく、一人一人の思想がプロダクトに色濃く反映される状況のため、各所でハレーションが起きてしまっておりました。
こちらのセッションでは、PMは「ジレンマ回収役」であり「PMの無能化により、妥協の産物が生まれる」と紹介されております。
当時はスプリントレビュー後にステークホルダーごとのmtgでそれぞれに向けた解説も必要であったり、実ユーザーに使われない機能をリリースしてしまっていたりと、自分が無能化していることに気付かされる言葉でした。
こちらの言葉を元に、ジレンマを改善するために妥協するのではなく、複数ステークホルダーと仕事を行えるPMの特性を活かしステークホルダーの意思の背景を理解することによってプロダクトのビジョンやミッションとつなげてジレンマの解消をすることができるようになってきました。
結果としては、スプリントレビューでの事後MTGが不要になり全ステークホルダーを含むスプリントレビュー内で同一の前提のもとディスカッションを建設的に進められる状況まで変わりました。
ジレンマ解消が進むことにより関係者全員でユーザーが必要とする機能にフォーカスできるようにもなり、「これが欲しかった」と言われる機能開発を進めていけるようになりました。
全セッションを通して
本記事では、参加させていただいた一部のセッションのみ紹介させていただきましたが、すべてのセッションからPMの現場に直結するノウハウを得ることができ、どのような業務を推進する場合においても自分の引き出しが一気に増えたことが一番の収穫となりました。
その後の変化:社内でのPM認知
pmconfで学んだことを自身が取り組ませていただく中で、「プロダクトマネージメント」についても認知が広がってきたように思うため、この記事を書くにあたって社内の各役割の方に質問をしてみました。
- 質問
- 「プロダクトマネージャーの役割と仕事は何だと思いますか?」
- 回答
- プロダクトの未来の姿から逆算をして、求められる要件の定義、開発・営業への共有、進捗管理
- プロダクトの成果を最大化させるための計画立案をすること
- 企業成長(組織成長)に必要な、長期的ゴール設定をし、短期的な目標に落とし込み、タスクを振り分け、メンバーのアサインし、それぞれの目標達成のためのコスト・リソース・精神面での調整や支援を行うオーナーポジションの人
- プロダクトマネージャーは社内外のステークホルダーを整理してPMFを推進していく際の最重要ポジションであり、ビジネスの鉄則となる”価値あるプロダクト”を”必要としている市場”に供給していくために必要不可欠な存在です。
- プロダクトの価値を最大化するための方針や戦略を決め、開発とビジネスとユーザーを繋ぐ役割
- プロダクトが成長しやすい環境を社内外に作っていく人
- プロダクトにまつわる意思決定をまとめる要となる役割であり、マーケティングからメンバーの管理や期待値調整まで幅広くプロダクトの関心事を取り扱う仕事
- 最高のプロダクトを作り、ビジネスとしても成功させるために必要な全ての役割。その中で特にプロダクトの付加価値UPのために貢献できる仕事
実際に質問をさせていただくことで、社内でPMにどのような期待をされているかを知れたため、気が引き締まる思いです。
最後に
本記事ではpmconf2019での学びと実践を紹介させていただきました。
pmconfはプロダクトマネージメントがより前に進むための定量・定性の両面で得れるものばかりで、運営者・登壇者・スポンサー企業・参加者の皆様にこのような場を作っていただき感謝しております。
先日開催されましたpmconf2020で新たに学んだことも多くあるため、これから試していきたいと思います。