こんにちは。エンジニアの米元です。
昨年12月に1人目の子供が産まれ、年始から1ヶ月間の育休をとりました。 2月に復帰して2ヶ月が経ち、ようやく少し落ち着いてきたので育児を通して取り組んだ事や、エンジニア・マネジメント経験が活かされた事を紹介しようと思います。
あくまで私のケースなので他の方には当てはらない事があるかもしれませんが、エンジニアだけでなくこれから子育てをする方の参考に少しでもなれば幸いです。
前提
そもそも育休とは
育児・介護休業法に定められた制度で、
子が1歳(一定の場合は、最長で2歳)に達するまで(父母ともに育児休業を取得する場合は、子が1歳2か月に達するまでの間の1年間<パパ・ママ育休プラス>)、申出により育児休業の取得が可能
との事です。
休業中の収入に関しては
育児休業期間中、賃金が支払われないなど一定の要件を満たす場合には、「育児休業給付金」が支給され、休業開始時賃金の67%(休業開始から6か月経過後は50%)が支給されます。 育児休業給付金は非課税のため、所得税はかかりません(翌年度の住民税算定額にも含まれません)。 また、育児休業中の社会保険料は、労使ともに免除されます。給与所得が無ければ、雇用保険料も生じません。 その結果、手取り賃金で比べると休業前の最大約8割となります。
となっており、基本的には会社から賃金が出ない分を給付金でカバーする形になります。 ただ支給金額には上限があるので注意してください。
私の場合はまだリリース前だったので使ってないのですが、こちらの記事で紹介されている「育休シミュレーター」を使うと給付金の金額や支払いタイミングと子供と過ごす時間を計算出来るようなので、これから育休を検討される方は使ってみるとよいかもしれません。
何のために取ったのか
私も妻も実家が遠方なこともあり身近に頼れる人がいない事が主な理由でした。
生後1〜3ヶ月は昼夜関係無く2〜3時間おきに授乳する必要があり、まともに寝る時間がほとんどとれません。 最初の1ヶ月は妻の母が滞在して手伝ってくれる事になったので、昼間は私は仕事、妻は休みながら育児、義母が家事全般を行い、夜は妻が主に子供の面倒を見てくれました。生後2ヶ月目からは私が育休を取って昼と夜交代しながら家事と育児をすることにしました。
育休に入る前にやったこと
目標設定
育休期間を漫然と日々を過ごすと、ただ育児を頑張って終わりになってしまいそうだったので、育休期間で達成するべき目標を立てる事にしました。 当然ですが育休期間よりも復帰してからの方が長いので、育休期間自体ではなく復帰後の生活にフォーカスして以下の2つの目標を考えました。
- 効率化・自動化
- 仕組みや機械の力を使って家事/育児を可能な限り楽にする
- 冗長化
- 自分自身の家事/育児のスキルを妻と同等のレベルにする
1つ目は、復帰後は自分自身が時間があまり取れなくなる事や、日中ずっと子供の面倒を見ることになる妻の負担を少しでも減らすために、出来るだけ少ない時間で家事/育児をこなせる状態にしておくというもの。
2つ目は冗長化のイメージで、自分自身の家事/育児スキルを上げておくことで、妻が体調を崩したり用事があって外出するなどの時でも問題無く家庭のオペレーションが回る状態にするのが目的です。
目標を立てた事で目指す方向が固まり、いつまでに何をやるべきかの計画を立てやすくなりました。
育休中にやったこと
妻とタスクの洗い出し
目標を立てたものの、それを達成するために必要な事や子供関連の手続き・検診など育休期間中もやることがたくさんありました。 年末休みの間になんとなく生活リズムが分かってきたこともあり、年明けすぐに全体像を把握するためのタスクの洗い出しをすることにしました。
妻と2人で携帯用のホワイトボード(バタフライボード)にやることリストを書き出し、それぞれに優先度をつけておおまかなスケジュールを立てました。
タスクの種類としては
- 検診などスポットで発生するもの
- 普段の家事/育児などルーチン的なもの
- 効率化・自動化に必要な作業
の大きく3つがあり、
1はスケジュールを決めてTrelloとTimeTree(スケジュール管理・共有アプリ)に登録して管理。
2は冗長化の事を考え、料理が苦手な私があえて毎日朝食を作ることにしました。 普段の生活に活かせるように、時間をかけて凝ったものを作るというよりは冷蔵庫にあるもので手早く・そこそこ美味しいものが作れるスキルをつける事を目指しました。
他のルーチンタスクに関しては、明確に役割分担せずに出来る人がやる事にしました。 あまりガチガチに決めてしまうと疲れて出来ない時でも負担になってしまいそうだったのであえて緩いルールにしました。
3はどちらかというと自分自身がやりたい事だったので、私がメインとなって買う物や整備するものを洗い出しました。
1on1
夫婦なので普段から常にコミュニケーションをとっているとは言え育児に追われているとゆっくりお互いの考えを話す事もできず、いつの間にか我慢をしていたり、相手に言えてない事があります。
特に不満や要望などは改めて話す時間をとらないと日々溜め込んだものがどこかで爆発しそうだったので、これもバタフライボードに書き出しながら話すことにしました。
私からは、「育休から復帰したあとも含めて少しでいいのでエンジニアとしての勉強時間をとりたい」という話をして、妻からは「時々1人で出かけたり夜の子供の世話を私にまかせてゆっくり寝たい」「育休期間に私にやってほしい事」などを話しました。
書き出したものを一緒に見ながら話す事で、「私とあなた」のように相手に対して意識を向けるのではなく、「問題と私達」という二人で一緒に問題に対して向き合って話をする事が出来たと思います。 仕事の1on1でも同様の事をしていて、ホワイトボードやPC上で書き出しながら話をすると、客観的に事実と感情を整理しながら話を進められる事が多かったので仕事での経験をうまく応用できたと思います。
先ほどのタスクの話と合わせて育児や育休に対する互いの認識や期待値を調整ができたので、やって良かったと思います。
振り返り
隔週で合計2回の振返りを行いました。 タスクの進捗確認とスケジュール調整が主な内容で、KPT等のフォーマットは仕事っぽさが出すぎてしまうのであえて使いませんでした。
実際のタスクの進捗ですが、育休の途中で子供が発熱して1週間ほど入院してしまったこともあり、予定より出来なかった事が多かったです。
ただ復帰後に何をやればいいかが把握できた事や、どれくらいのペースで何が出来るかが具体的にわかったのでタスク管理と振返り自体はやって良かったなと思います。
効率化・自動化
家電から育児グッズから細かな改善までたくさんあるのですが、主なものをいくつか書いていきます。
購入した物
良かったもの
食器洗い乾燥機
家事の効率化・自動化の貢献度No.1
1日分の使った食器を入れて夜に回しておけば朝にはきれいに洗えて乾燥した状態になっているのでめちゃくちゃ楽。実は手洗いより水道代が安くなるので、育児中でなくても自炊する人は場所さえ確保できれば絶対に買った方がいいと言い切れるアイテムです。
洗濯乾燥機
これは以前から持っていたものの、家事の効率化・自動化には欠かせないので一応あげてます。
熱に弱いものは乾燥までは出来ないのですがタオルや下着などをガンガン洗って乾かせるので、全体で6割くらいの工数は減るイメージです。
大型冷蔵庫
以前は1〜2人用の小型の冷蔵庫を使っていたのですが、子供がいると買い物に行くのも料理を作るのも大変になるので大型のものを買いました。
容量が大幅に増えた事と、野菜の保存期間が長くなった事で作り置きや買い置きがしやすくなりました。
非接触の赤外線温度計
ミルクの調乳の時に使います。ミルクの粉を熱湯で溶かしてから水で割って人肌くらいまで温度を下げるのですが、手の感覚だけだと熱すぎるのかどうかが判断つきにくく時間もかかるので、温度計で定量的に測れるようにしました。
非接触なので洗う必要も無く一瞬で温度がわかるので便利です。1500円ほどの安いものがあったので購入しました。
リッチェル ひんやりしないおふろマット
これだけ商品名指定ですが、発泡スチロールのような素材で軽くて汚れにくいので子供を風呂に入れる時にとても便利です。
微妙だったもの
バランスボール
子供が泣き止まない時に、抱っこしながらバランスボールに乗ると泣き止むという話をネットで見て購入。
実際生後1.5ヶ月くらいまでは効果がありましたが、それ以降は全く泣き止まなくなりました・・・。
電動ハイローチェア
バランスボールと違い自動でゆらゆら揺れてくれるので、自分達が手を離せることを期待して購入。 電動のものは数万円するので中古の物をメルカリで買いました。
1ヶ月ほどは効果がありましたが、子供が成長して狭くなったこともあり使わなくなりました。そろそろ手放すかもしれません。
アプリ・サービス系
タスク・スケジュール管理
Trello
主にスケジュールが決まってないタスクを管理するために利用。見た目とスペースを気にしなければ、ホワイトボードか黒板に書き込んだり付箋を貼ったりするほうが見える化出来て良さそうな気はしてます。
TimeTree
家族でのスケジュール管理・共有に便利。Googleカレンダーは家族で使うには少し見にくかったり使いづらいのですが、これはシンプルで見やすいUIのため使いやすくて妻も愛用しています。
成長記録・共有
ぴよログ
ミルクの量と時間、睡眠時間、うんちやおしっこの時間と回数の管理などに使用してます。一見少しごちゃついたUIですが、操作しやすくて成長の記録も残しやすいので便利です。
みてね
夫婦だけでなく両家の親(子供の祖父母)にも写真や動画を簡単に共有できて、更に紙のアルバムも毎月作れます。UIもシンプルで使いやすく、子供の成長記録メディアとしては一番良いアプリだと思います。このアプリのおかげで双方の両親ともコミュニケーションを取る機会が自然と増えたので、その意味でも優れたサービスだと思っています。
メディア
口コミやCGM系は質問に対して一般の方が書き込んでいるため情報の精度が高くありません。そのため回答ではなく自分と同じ質問をしている人がどれくらいいるかを見て、それが一般的なケースなのかどうかを判断するためだけに使いました(子供の肌荒れが大丈夫か等)。
そのため病気に関する質問など一定の信頼度が求められるものは一次情報を調べるようにしました。
買い物系
メルカリ
育児用品はハイローチェアやベビーカーなど、使う時期は限られているのに高価なものが多いです。メルカリだとものによっては半額以下の値段で買えて、使わなくなったらメルカリで売る事が出来るので育児をするようになってから利用頻度が増えました。
ジモティー
頻度は多くないですが、メルカリと合わせてジモティーも使ってます。ものによりますが、近所の人から送料無しで直接受け取れるのでうまく活用できると便利です。
地域のコミュニティ
意外とあなどれないのが自治体が運営しているコミュニティ。物々交換や情報交換が出来たりママ友を作ったりと、リアルでの交流ができるので長期的に見ると一番重要かもしれません。
ネットスーパー
便利に使ってますが、子供の状況次第で玄関まで行って受け取るのが大変な時もあり、事前の想定よりは使う頻度は多くないです。
自宅環境の整備
GoogleHomeを活用
今まであまり使っていませんでしたが、子供を抱えていると手が塞がるので声だけで操作できるGoogleHomeがとても便利です。
主にスマートリモコン(Nature Remo)をGoogleHomeと連携させてTV・エアコン・照明などを操作しています。
育児動線の整備
育児を効率的に行うための家具の配置、オムツ・タオル・お尻拭きなどのお世話グッズを複数箇所に配置するなど細かい調整を繰り返して最適な動線を作りました。
以上、効率化・自動化についての主なものの紹介でした。 育休中しかまとまって検証できる時間が無かったので、費用が発生するものでも極端に高いもの以外は失敗してもいいからどんどん試す方針にしていました。
育休を終えて
目標の達成度合
毎日てんやわんやだった育休を終えて、気になる目標の達成度合いですが以下のような感じです。
- 効率化・自動化
- 出来るだけの事はやったと思います。育児に関してはルーチン作業でも完全に人手を無くす事は難しいものが多く、効率化するよりは作業にかかるストレスを減らす方向で考えるのが良いかもしれません。例えばミルクの調乳で使った温度計は効率化というよりは深夜のぼーっとした頭でも間違いなく適温のミルクを作れるようにする等、いかに疲れない状況を作るかを意識しました。
- 冗長化
- こちらはほぼ達成できたと思います。妻からも「安心して子供を預けて出かけられるようになった」「いつでも預けられる安心感があるので全部自分がやらなくてもいいという気持ちになって、精神的にかなり楽になった」とフィードバックをもらえました。個人的には料理のレパートリーはもっと増やしたかったな思いつつ、目標をクリアした事による達成感が得られて良かったです。
ただ子供はどんどん成長するので、時期によって必要な育児スキル(あやし方など)や気をつけるポイントが変わってきます。 最近は妻が側を離れると泣き出したり寝返りをしそうになったりと、前よりも更に目が離せなくなってきました。
サービスやプロダクトもフェーズが変わると課題が変わってくると思いますが、子供成長もそれと似ていて親自身も学んで成長しながら課題を解決知ていくことが必要だなと感じています。
復帰後
復帰後はフレックス制度を利用して、通常の始業時間より1〜2時間早く出社し就業時間より1時間ほど早く帰る生活を続けています。 帰ってから子供を風呂に入れて、寝かしつけまで終わったら仕事の続き、時間があれば筋トレや勉強をする毎日です。
大変だったこと
育休期間で一番大変だったのは子供が発熱して入院したことです。 小さい身体にいろんな検査をされて可愛そうだったのと、初めての事だったのでどうなるのかとても心配でした。
また、その時点で自宅はそれなりに効率化して育児に最適化された状態だったのですが、病院の環境が整ってない中でのミルクやオムツ替えは大変でした。 幸い1週間ほどで熱も下がり、無事に退院できたので3人で家に帰れた時は本当に嬉しかったです。
よかったこと
育休取れて良かったことはいくつかありますが、その中でも一番は子供の成長を間近で見られたことです。 特に生後間もない時期は変化が大きく毎日のように仕草が変わったりするので、この期間に一緒にいられた事は一生思い出になったと思います。
あとはがっつり育児に向きあった事で大変さがよくわかりました。 世の中のお母さん達が頑張っていることはもっと認知されていいと思います。
まとめ
育児全般を通してエンジニアとしての経験が役に立ったと考えています。 特に
- 効率化・自動化の習慣や考え方
- 1on1・チームビルディングなどマネジメントスキル
は家庭でも使えるスキルなので、これからも活用していきたいと思います。
子育てはチームで取り組むプロジェクト
子育ては妻と2人でチームを組んで取り組むプロジェクトだと思っています。
目標や期待値をチームで摺合せ、クライアント(子供)の無茶振りに対して力を合わせて取り組み、時にはベビーシッターや家事代行サービスなど外部の力もうまく使いながらプロジェクトを成功させる。
そんなイメージで考えていくと大変な時でも前向きに取り組めるのかなと思います。
子供は不確実性の塊
子供がいると計画どおりにいかなかったり想像してなかった事が起きたりします。 バランスボールで泣き止まなくなった、ミルクを飲んでくれなくなった、何か家事をしようとした時に泣き出す、急に発熱して入院する、etc...
イライラしてしまったり、しんどいと感じてしまう事も多いのですが、そんな時はアジャイル開発でよく言われる「変化を受け入れる」を思い出して、変化に対して前向きに取り組む事にしています。
また、子供が泣いてる時は何が原因かを考えて仮説を立てて検証し、結果をチーム(妻)に共有するなど、チームで学んで成長していく姿勢も大切だと思います。
育児に関しては子供が動き回るようになってからが本当に大変になると思うので、これからも妻とチームで協力して解決していきたいと思います!