SMARTCAMP Engineer Blog

スマートキャンプ株式会社(SMARTCAMP Co., Ltd.)のエンジニアブログです。業務で取り入れた新しい技術や試行錯誤を知見として共有していきます。

設立して半年、京都開発拠点をエンジニアリングマネージャーが振り返る

設立して半年、京都開発拠点をエンジニアリングマネージャーが振り返る

スマートキャンプでエンジニアリングマネージャー(EM)をしている瀧川です。

弊社の京都開発拠点は、2022年6月1日に設立したエンジニアが中心の新規拠点となります!

私は静岡生まれ東京育ちで特に関西に縁があったわけでもないですが、EMとして0からの拠点作りに惹かれたこと、リモートワークの普及で郊外に引っ越す話がよく聞かれ始めたこと、京都という響きに惹かれたことなどから、家族での移住し参画を決めました。

正式な設立日は2022年6月1日ですが、設立メンバーは2022年5月から京都に集まり活動を始めていたため、早いものでもう半年経つことになります。

半年間、たくさんのトライをして、うまくいったり、うまくいかなかったり、多くの経験を積むことができました。

拠点立ち上げってどんなことするの?京都でエンジニアを集めるメリットってあるの?タイトルを読んでそんなことを思われた方はぜひ一読いただければ幸いです!

スマートキャンプ京都開発拠点とは

スマートキャンプ京都開発拠点は2022年6月1日に設立したエンジニア中心の拠点です。

京都開発拠点では中長期で弊社Visionである「テクノロジーで社会の非効率をなくす」ことを目指した組織開発・プロダクト開発を推進するべく拠点運営をしています。

これは全社としてテクノロジーへの投資を強化する取り組みの一つとして位置づけられています。

昨今リモートワークが一般的になり、ツールの発展も相まって、地理的にどれだけ離れた場所でも不便なく一緒に仕事ができるようになりました。

ではなぜこのタイミングで新たに開発拠点を立ち上げたのかですが、私たちは好きなところで働きながらも、日々の業務を一緒の空間でコミュニケーションを取りながら進め、それを楽しむような働き方を推していきたいという想いでも立ち上げています。

なので、新規開発拠点立ち上げというわからないことだらけの日々を、必要なときに顔を突き合わせディスカッションをし楽しみながら、全社に大きなインパクトを与えることを目指すのが京都開発拠点としてのバリューになります。

拠点設立当時の思いについてはこちらにも記載しているので、興味があれば併せてご覧ください!

京都で「社会の非効率を無くす」プロダクト作りを。スマートキャンプの開発拠点を設立します。|スマートキャンプ公式note『.▲.tent.』|note

拠点の業務

スマートキャンプとしてエンジニアの拠点を立ち上げるのは初めてであり、また上記目的だけが課されている状態だったので、本当に0から拠点メンバーでアイディアを練り行動を起こしていく必要がありました。

その中で最初に想定したミッションとしては主に以下となります。

  • 共通基盤開発
    • プロダクト横断で価値を生む基盤作り
  • エンジニア採用
    • 新しいチャネルの開拓
    • 京都ならではの訴求
  • インターン採用
    • 学生へのチャレンジ機会創出

立ち上げメンバーは、拠点長としての対外的な業務やPOなどの役割を担う高橋、採用とエンジニアマネジメントを担う私瀧川、開発とインターンマネジメントを担うエンジニアの3名で、ざっくり役割分担しつつも互いに助け合いながら半年を過ごしました。

※ 今回の記事はEMとしての瀧川視点ですが、拠点長の高橋から見た視点に興味があればMeetyなどでご連絡いただければと思います!

meety.net

京都開発拠点の半年

ここからは京都開発拠点を開設してからの半年間を振り返ってやったこと、それに伴って考えたことをつらつらと書かせていただきます!

拠点全般

立ち上げメンバーの意思統一

早期に成果を出すには、自分たちが何にコミットメントするのか、どういった価値観を大切にするのかをメンバー同士ですり合わせ、明文化することが重要だと考えていました。

そこで全員でインセプションデッキをやったり、拠点のキャッチコピーを決めたり、取り決めをすべてドキュメントに残すなど意識して行動しました。

特にキャッチコピーの「Go Lightly」は、せっかくの新規拠点なので身軽に意思決定をしようと考え決めましたが、難しそうなチャレンジでも提案するとメンバーがやってみましょう!と言ってくれており、カルチャーの土台となっているなと感じています。

オフィス

「スマートキャンプ京都開発拠点とは」で書かせていただいたとおり、京都開発拠点はオフラインでのコミュニケーションも大切にしたいという思いもあり設立しています。

特に今の設立初期だと不透明なことが多く、都度自分たちでディスカッションをしながら方針など調整し業務を進めていく必要があります。

そのため私たちは現在週2日を目安に出社することをルールとしており、その2日にできるだけディスカッション系のMTGをまとめるようにしました。

※ 全社的には週1日目安での出社が推奨されています。

出社するオフィスはグループ会社であるマネーフォワードが4年ほど前に先んじて京都に開発拠点を設立しており、そちらと同居させていただいています!

当初は5人定員の薄暗いレンタルオフィスを借りて始めようか…という風に考えていたんですが、拠点設立について相談していた中で同居の提案をいただき実際に何不自由なく拠点の一員として現在過ごせているのはとてもありがたいことだと感じています!

kyoto.moneyforward.com

実はせっかくマネーフォワードの方々と同じ拠点にいるので、積極的にコミュニケーションを取り、よりシナジーを生み出そうというのを拠点の裏目標にしています。しかしながら今のところは軽いコミュニケーションや意見交換会しかできておらず、ここについてはまだまだできることがありそうだと感じています。

一緒にお互いの事業・プロダクトをフォワードできる取り組みが先々できるように考えていきたいです!

東京のメンバーとのコミュニケーション

京都開発拠点ができる前から弊社ではGatherというバーチャルオフィスを導入していました。

このGatherの運用がうまくいっていたこともあり、実際に京都に来る前と後で、各メンバーとのコミュニケーションが取りにくくなったと感じることはほとんどありませんでした。

※ Gatherを弊社で導入した際のブログがこちらです。

ZoomやDiscordではなくGatherをリモートワークのコミュニケーションツールに選んだ理由 - SMARTCAMP Engineer Blog

良かったこととしては京都という土地柄か、東京のメンバーが仕事でもプライベートでもなにかと用事を作ってよく訪問してくれたことはとてもうれしく思っています。

物理的な距離は遠くなりましたが、逆に関係性としては近づいたところもあるなと感じています!

東京のメンバーと三条大橋近くにて

京都市との連携

当初はあまり想定していなかったですが、京都市と関わらせていただくこともありました。

京都市としてIT企業の誘致に力を入れていることもあり、拠点設立に際した補助金や意見交換会の実施、市主催のイベントへの参加などさせていただきました。

https://www.city.kyoto.lg.jp/sankan/page/0000296666.htmlwww.city.kyoto.lg.jp

2022/6/14に拠点開設イベントを開催したのですが、そこでは京都市の産業イノベーション推進室の方、京都信用金庫の企業成長推進部の方、マネーフォワード京都開発拠点拠点長の村上さん、そして弊社拠点長の高橋による公演や、パネルディスカッションをしていただきました。

私も司会をさせていただきましたが、TVニュースで取り上げていただき地上波デビューしたりとなかなかない経験が詰めていると感じました!

こういった取り組みを通して繋がりを増やし、お互いにメリットのある施策を企画していけるとよいなと考えています。

開発

京都開発拠点のミッションを中長期でMissionの「テクノロジーで社会の非効率をなくす」を胸を張って実現できていることとして置いたときに、どんな開発を担うべきかについてメンバーでディスカッションし、短期的にはプロダクト横断の共通基盤開発に注力することとしました。

現在弊社は複数プロダクトを抱えていますが、それぞれが事業単位でバーチャルカンパニー制をとっており、独立して開発・運営をしています。

そうすることによって、よりフォーカスした運営ができ、開発も円滑になりましたが、その代わりに地続きなプロダクト郡を展開しているにもかかわらず、プロダクトが相互に連携してユーザーに価値提供する機能が手薄といった課題感がありました。

またこれから新規プロダクトにチャレンジする際も、連携を検討する場合都度開発工数がかかってしまいスピード感が損なわれる懸念もあり、まずこの部分に私たちが手を入れることにしました。

具体的には認証を一元管理する基盤、各種データを分析・活用する基盤などを開発予定です。

技術面においては、弊社はバックエンドの実装がRuby on Railsになっているプロダクトが大半のため、そちらを修正および切り出し、マイクロサービス化する際にGo + gRPCを使っていく想定としています。

ただやることが決まったものの、ただでさえ影響範囲が広いシステムで意思決定の難易度が高い中、エンジニア2名かつ手を動かすのは1名という体制で進める必要があり、サポートのため技術顧問をしていただいているYoshiori-sanに定期的に相談しながら進めています。

技術顧問のヨシオリさんと歩んできた半年間について話しました - SMARTCAMP Engineer Blog

エンジニア採用

エンジニア採用については、最近傾向が掴めてきたかなと感じています。

設立背景もあり、現在は募集要件として「京都近郊に住んでいるまたは引っ越し意思がある」ことを明記しています。

まず母集団だと、京都を希望勤務地に入れている方は非常に少ないです。大阪・兵庫・滋賀・奈良を加えても、関東希望に比べて遥かに少ないです。

そのうえで最近では関東希望の方にもお声がけさせていただくことも増やしています。

理由としては、京都は特別U・Iターンをしたいと考えている方が多いと感じているからです。

実際に多くの方と面談させていただく中で、「大学時代を京都で過ごしいつかは京都に帰りたかった」「旅行で京都に滞在して住んでもいいと思っていた」とみなさんおっしゃっており京都がいかに魅力的な土地かを肌で感じています。

また、他ポジションでの採用では、昨今エンジニアが売り手市場ということもあり、多くの企業と接点を持たれ検討されていることが多いため、他企業の選考状況と合わせるために選考フローを変えたり、競うように自社のことをよく見せたりと、本質的に企業と候補者の方のマッチ度をはかるのは難しいと感じていました。

それに対して、「新規拠点立ち上げ」「京都」というキーワードを掲げていることで、あまり転職意欲の高くなく積極的に転職活動をされていない方に興味を持っていただくことも多く、その分しっかりと一人ひとりの方と時間をかけて向き合い、ミスマッチの出にくい選考ができていると感じています!

インターン受け入れ

私たちが京都を選んだ大きな理由の一つとして、京都が優秀な学生がたくさん集まる学園都市である、というのも挙げられます。

そのなかで、最近では情報系の学部を新設するところも増えており、エンジニアを志す学生が多くいるのに、東京と比べてしまうとインターンの受け入れ先が少ないという話をさまざまなところから聞いていました。

そこで私たちが新しい受け入れ先となり、スキルアップしてもらえる環境を整えることで、学生の方の成長や育てることによる社員の成長、そしてお互いにマッチしていれば新卒として受け入れができるとWin-Winだと考えています。

それらを目指して以下のことに取り組みました。

  1. インターン採用
  2. インターン時給調整
  3. インターン用タスク収集フロー整備
  4. インターン行動規範策定

結果として現在(2022/11)で2名のインターン生の受け入れをしています。

  1. インターン採用

設立と同時に募集を開始しましたが、これまで多くの方に応募いただき、やはり長期インターンの需要の大きさを感じていますし、また面談させていただく中でスキルが高く熱量も高い方が本当に多いなと感じました!

募集する前はインターンもリモートワーク普及の波を受けて、優秀な方は遠方でも東京の企業のインターンに参加しているんじゃないかとも考えていたのですが、実際に話を聞いていくとサマーインターンなど短期のインターンはリモートでの募集もあるが長期インターンでは少ないことや、リモートだと社員とのコミュニケーションが満足に取れるかが不安という話を聞き、自分たちが京都でインターン採用をする意義を強く感じました。

現状は管理コストなど加味して枠をかなり絞らせていただいてますが、今後受け入れ体制の拡充など通して多くの方に参加いただけるようにしていきたいです。

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  1. インターン時給調整

優秀なインターンの方にジョインおよびスキルアップしていただくために私たちが重要だとなことの一つが、難易度の高いタスクを適切に任せ、それに対して適切な報酬を支払うことだと考えました。一方で、インターンは学生を学ばせてあげる場という考え方の企業が多く、エンジニアの時給としては低く設定されることも多く見受けられました。

私たちはしっかりと成果を求めることで成長を促したいと考え、ベースの時給アップやスキルや成果による時給アップ制度の作成に取り組みました。

まだインターンの方も稼働を始めたばかりで、実際どれくらい成果を出せるようになるかなど不透明ではあるので、こちらは実態に合わせて柔軟に変えていきたいと考えています。

  1. インターン用タスク収集フロー整備

インターンを採用するうえで一番ネックになるのは従事するタスクの創出だろうと考えていました。

そこでいくつかの仕組みを考え、定常的にタスクを用意できるように心がけています。

  1. 各プロダクトのPdM、エンジニアリーダーに優先度が下がったタスクをインターンタスク置き場に移管してもらう
  2. 定期的に各プロダクトのバックログを回遊し期日のないタスクを移管する
  3. 自分たちで各プロダクトの課題などをディスカッションする機会を作ってタスクを作成する

しかしこちらではまだまだ不十分ですし私たちが手を動かすコストも高いため、追加の施策を考え中です。

  1. インターン行動規範策定

京都は現状社員が少人数のため、インターンを増やせば増やすほど管理工数がかかってしまうのは想定できました。

それに対応するため、インターンの行動規範を定義して、よりインターン生が自走しやすい環境の整備を目指しました。

この行動規範はインターン生からFBを受けながら追記・改善をしています。

インターン行動規範

京都開発拠点のこれから

ここまでで振り返ったこと全般的に、学びは非常に多い一方で、明確な成果はまだ出せていないと考えていて、引き続き行動を取り続けていくのが第一だと思います。

特に短期的にはエンジニア・インターンの採用はまだまだ改善の余地があると考えています。

エンジニア採用においては、京都は東京と比べるとエンジニアの転職が身近ではなく、潜在層が多いイメージなので、そういった方々にアプローチするイベントの開催や京都の他企業と連携したイベントなどが今後の施策候補として挙げられます。そしてインターン採用についても大学に訪問させていただいたり、ハッカソンの開催などできればと考えています。

また当初想定になかったところだと、来年度より京都開発拠点で新規プロダクトの開発体制作りにもチャレンジしようと考えています。

SMARTCAMP NEXTという新規プロダクトのコンペが全社的に開催されたりと、新規プロダクトを通じてスマートキャンプのMissionである「テクノロジーで社会の非効率をなくす」を果たす動きが加速しているのもあり、京都開発拠点でもそうした動きの一部を担うことにしました。

そのため、アイディア創出に繋がる新規プロダクトコンペへの積極的な参加や、PdMの採用強化、今まで明文化されていなかった新規プロダクトの社内エスカレーション・リリースフロー整備などにも取り組みたいと考えています。

※ 実際に10月から開催されているSMARTCAMP NEXTに京都から6アイディア出し、2アイディアが最終選考に残っています🎉

SMARTCAMP in Kyoto

最後に

長文になってしまいましたが、京都開発拠点を設立してから私たち立ち上げメンバーが経験したことを書かせていただきました!

メンバー同士工夫しつつ多くのチャレンジができた一方で、反省点ややりきれていないところが散見している現状ですが、EMとしての業務以外にも多くを学ぶことができたとあらためて感じました。

まだ半年、次の半年にはまた多くのチャレンジをして振り返りたいなと思います。

ぜひ見ていただいた方の何か参考になっていれば幸いです!

面談のご案内

途中で拠点長のMeetyを載せましたが、私もMeetyをやっているのでぜひ聞きたいことがあれば気軽にお声がけください! (ブログには書けないような濃い内容もお話できると思います)

meety.net