スマートキャンプ、エンジニアリングマネージャーの入山です。
私は現在、弊社BOXIL SaaSの開発部長を務めており、タスクの管理や開発メンバーのマネジメントを中心に行っています。また、BOXIL EVENT CLOUD開発メンバーのマネジメントも兼務しており、弊社エンジニア組織の中でも直接業務で関わるメンバーの数が多い立ち位置となっています。
そんな私は、2つのプロダクトの開発メンバーだけでなく、上長やPM、他チーム開発メンバーなど、頻度はさまざまですが10名以上の方々と日々1on1をさせていただいています。
1on1は入社当時から今に至るまで役職や立場が変化しつつ色々なメンバーと実施していますが、最近では自分との1on1に対する満足度が高いという声をいただく機会が増えたように感じています。
今回は、私が1on1を実施する際に意識している内容について、紹介したいと思います!
スマートキャンプの1on1事情
スマートキャンプでは、すべての職種で全社的に1on1を実施しています。
なお、自分の入社は2018年10月ですが、その時から1on1は実施されていました。
最近では、社内で1on1に関するルールやノウハウに関するドキュメントが共有されていたり、外部講師を招いた1on1研修が行われたりしており、全社的により有意義に1on1を行なうための取り組みも実施されています。
また、1on1は基本的に上長とメンバーで行なうものですが、エンジニア組織ではメンバー間でも積極的に1on1を実施しています。
弊社の1on1事情を纏めると、以下のようになっています。
全社
- 上長とメンバー
- 最低30分/隔週以上(入社後3ヶ月間は週1以上)
エンジニア組織
- 上長とメンバー(チーム内)
- 最低30分/隔週以上
- メンバーとメンバー(チーム内)
- 最低30分/月1以上
- メンバーとメンバー(チーム外)
- 最低15分/月1以上
※過去実績を含む。組織人数や体制の変化に合わせて柔軟に実施。
自分
- 上長
- 最低30分/隔週以上
- 1名
- 直属メンバー
- 最低30分/隔週以上
- 5名
- その他メンバー(PdM、他チームなど)
- 最低30分/月1以上
- 10名程
あらためて自分が1on1を実施している人数を見ると、かなり多人数になっていました…!
直近でエンジニア組織人数が増えていることや、自分の関わる範囲が広がっていることを感じました。
※定期的に頻度やメンバーの見直しは実施しています。
1on1の目的
前述の通り、私は数多くの方々と1on1をさせていただいており、あらためて考えると業務時間全体の1割近く1on1を実施しています。
自分の業務時間の1割となると結構な時間に思えますが、各メンバーで考えると一人一人に向き合う時間は少ないため、この限られた1on1の時間を如何に有意義にできるかは特に意識しています。
相手との関係性や関係の深さによっても変化しますが、具体的に以下のような目的を持って1on1を実施しています。
【主な目的】
- 雑談を含むコミュニケーションによる信頼関係構築
- 気軽に何でも話せる(話して貰える)関係を作りたい
- メンバーの悩みや疑問点の解消
- 業務遂行や成長の妨げとなる要因を減らしたい
- ポジティブへの転換
- 1on1開始時より終了時で気持ちがより前向きになって欲しい
この中でも信頼関係構築は特に重要だと考えており、これは弊社の技術顧問である庄司嘉織さんが自分を含む各メンバーと初めて1on1をする際に伝えてくれた以下の内容にも影響されているものです。(2年程前ジョイン頂いた際に、以下のような内容を事前にドキュメント共有&口頭で説明してくれました)
- 愚痴や要望など、なんでも貯めずに、いつでも思ったときに伝えてほしい
- 1on1はそうやって思ったときにすぐに聞けるような関係性を作るためにやる
- 例えば上司だったときに「退職したいです」っていきなり伝えられたら負け
- できれば転職になる前に相談して欲しいし、相談して貰える間柄になりたい
- そういう意味でも1on1は「何かを報告するための場」ではなく、雑談をできるようにしておくことが大事だと思っている
上記嘉織さんの話を転記させて貰いつつ、1on1の最重要目的としてこれに勝るものはなかなかないとあらためて感じました。嘉織さんとは今も月1で1on1をさせていただき、いつもお世話になっています。ありがとうございます!
1on1で意識していること
今回の執筆にあたり、あらためて自分の1on1のやり方やスタンスを振り返り、その中から1on1を有意義にするために自分が意識していることをピックアップしてご紹介します。
自然体で臨み、最大限フランクな雰囲気を作る
1つ目に意識しているのは、自然体で臨み、最大限フランクな雰囲気を作ることです。
これは、まず自分自身が自然体で臨むことで相手も自然体になりやすい状況を作ることと、最大限フランクな雰囲気を作ることで何でも話せる相手や時間であることを感じて貰うことが目的です。
一般的に1on1という場は、部下のための時間であり、評価面談などと異なるフランクな雰囲気で行なうことが良いとされています。しかしながら、やはり上司と部下の関係である事実は変わらないため、お互いに身構えてしまって本音で話ができず、「話したいことが話せなかった。」や「辛い時間だった…。」と感じる1on1になってしまう可能性もあります。
また、個人的に過去辛かった1on1経験として、相手の体調やメンタルの不調に左右され、いつもなら言えることが言い辛かったり、必要以上に気を使って会話をしなくてはならないこともありました。(もちろん相手も人間なので致し方ない部分はあります。)
こういった状況にならないように、自然体で臨み、最大限フランクな雰囲気を作るようにしています。
【意識ポイント】
- 自然体かつ常に安定した状態で臨めるように自分自身の体調やメンタルを管理する
- 体調やメンタルが整ってない日の1on1は避ける
- フランクな雰囲気や信頼関係を作るため、雑談や業務の明るい話題を多く話す
- 1on1時間の7割程雑談して本題に入ることや、雑談だけで1on1が終了することも…笑
傾聴だけでなく、自己開示を積極的にする
2つ目に意識しているのは、傾聴だけでなく、私自身の自己開示を積極的にすることです。
これは、私の自己開示をきっかけとして、相手がより自己開示をしやすい状況を作ることが目的です。
1on1で上司に必要なスキルとして真っ先に挙がるのが、傾聴だと思います。傾聴は、受容や共感といった聞き手のスタンスに加えて、相手の話を聞くことに徹するイメージが強いです。
しかし、上司が一方的に相手の話を聞くことに徹しすぎると事情聴取の様な雰囲気になってしまって本音が言い辛かったり、そもそも会話が盛り上がらなかったりする可能性もあります。
また、上司が自己開示をしていない場合、部下がふとしたタイミングで「1on1で自分の色々な話を聞いてもらってるが、自分は上司の事や考えはあまり知らないな…。」などに気付き、急に不信感や不安感に繋がる可能性もあると自分は考えています。これは自分の学生時代の原体験として、共通の趣味を持ち毎晩の様に会って話をしていた仲の良い友人に対して、ふとした時に「自己開示している自分とあまり自己開示をしない相手のギャップ」に気付いて急に心の距離感を感じてしまった経験があるためです。その時の不信感というか物悲しさは一瞬で関係を薄めてしまったため、自己開示の大事さを意識するようになりました。
ちなみに、心理学的にも「自己開示の返報性」というものがあり、相手が自己開示をした際に自分も相応の自己開示をしなければならない気持ちになる心理が働くとのことです。
上司側である私が先に積極的に自己開示をすることで相手に安心感を与えたり、メンバーが自己開示しやすい状況となるようにしています。
【意識ポイント】
- 信頼関係を構築のための自己開示
- 業務の事だけでなく、個人的なことも含めて率先して自己開示する
- 相手の自己開示も促すための自己開示
- 相手に何かを聞く際にまず自分の事や意見を添える
- よりよい傾聴をするための自己開示を惜しまない
相手に合わせつつ、不変な自分でいる
3つ目に意識しているのは、 相手に合わせつつ、不変な自分でいることです。
これは、自分の芯は残して一貫性を持たせつつ、相手の性格や話し方の癖、その日の状態に合わせて自分の対応方法を柔軟に変え、相手からの会話や本音を引き出しやすい状況を作ることが目的です。
1on1のやり方として自分流の良いスタンスが確立できたとしても、相手によって性格や人間性が異なるため、同じやり方では相手から最大限の会話を引き出すことはできないと考えています。そのため、相手や状況に合わせてこちらが柔軟に対応することが重要で、一言で1on1と言っても以下のようなスタンスを臨機応変に使い分けています。(基本的には1on1開始時の相手の様子を感じ取り、ほぼ無意識で決めている感じです)
【1on1スタンスの例】
- 最近どう?から入り、相手にトピックを出してもらう(基本はこれ)
- 長めの雑談から入り、相手がトピックを出してくれるのをひたすら待つ
- 相手が直近で悩んでそうなことに関する話題を自分から放り込む
- コーチング的に相手の思考整理のサポートに徹する
- ひたすら明るく楽しい系の話題を投げ続ける
- ひたすら相手に寄り添う
このように色んなスタンスで1on1を実施していますが、気をつけなければならないのは、相手に合わせて対応方法を変えるだけで自分の意見や立ち位置を変えてはいけないということです。
極端な例ですが、AさんとBさんがモメている状況で双方と1on1をする場合、上司という立場上どちらにも寄り添いつつ2人の間の揉め事を解消するためのアプローチが必要となります。この時の相手への寄り添い方として、Aさんと話すときはAさんの味方、Bさんと話すときはBさんの味方、みたいなブレや矛盾が起きないように、自分としての一貫性を保つように気をつけています。
また、自分自身の無理のない範囲で相手に合わせることが大事で、間違っても相手に合わせて猫を被るようなことにならないように気をつけています。
当たり前だと思いますが、猫を被って表面上良いことばかりを言っていたり、メンバー間で話してて明らかに意見の矛盾が発覚したりするような人とは信頼関係を築くことはできないため、そういった事にならないようにも不変な自分であることを大事にしています。
【意識ポイント】
- 相手に合わせて柔軟に対応する
- 相手の性格や話し方、その日の状態に最適な対応を心がける
- 一貫性のある不変な自分でいる
- 柔軟に対応するが自分の意見や立ち位置は変えない
メンバーからの反響
今回のブログ執筆にあたって、普段私と1on1を実施しているメンバーに、率直な感想やメンバー視点での分析を募集してみました。回答頂いた内容をご紹介します!
Slackのスレッドをそのままキャプチャしているので、弊社組織の雰囲気も一緒に感じて頂けると嬉しいです。
(ちなみに私は社内で基本的に「あんにん」という愛称で呼ばれています笑)
初めて1on1に対する具体的なFBをいただき、私との1on1をポジティブに感じて貰えていたり、前述の自分が意識していることと相手が実際に感じていることに大きな乖離がないように感じられたことが、自分としてはとても嬉しい内容でした!回答頂いたメンバーの皆、ご協力ありがとうございました!
まとめ
今回は私が1on1を実施する際に意識していることについて、紹介させていただきました!
最近では1on1を導入している企業が多く、1on1スキル向上のための本もたくさん出版されています。
弊社は比較的エンジニア間の年齢も近く、エンジニア組織としても大きくないため、そういった要因も含めて上手く1on1が実施できている側面もあると思います。
また、今回の執筆はブログとして外部公開することが前提のため、ポジティブな意見に絞られている部分もあると思っており、慢心せず自分との1on1がより有意義な時間となってもらえるように精進していきたいと考えています。
(といいつつ、メンバーの皆に良いFBをたくさん貰って素直に嬉しかったです!いつもありがとう!)
一般的にもよく言われている内容と重複してる部分も多いと思いますが、少しでも今後の1on1改善の参考になれば幸いです!