スマートキャンプで開発組織のマネジメントをしている米元です。
この10月でマネージャーになってからちょうど2年が経ちました。 マネージャーとして組織作りをする中で重要なものとして「採用」がありますが、そのプロセスは外部からはわかりにくく実際に選考を受けてみないと分からないことが多いのではないかと思います。
面談や面接では出来るだけ深くお互いの事を理解しミスマッチを無くすために時間を使いたいと考えており、会社全体としても会社説明資料などを公開して事前に候補者が内容を確認出来るようにしております。
その一環で当ブログでは約1年前に当時の採用フローを紹介しました。
その後、この1年で様々なトライアンドエラーを行い改善を進めたため、現状のフローとは一致していない部分が出てきています。 そこで今回は改めて現在の採用フローについてご紹介したいと思います!
現在の採用フロー
2020年10月時点での基本的な採用フローは以下のようになっています。 内容や順番は変わる場合があります。
- カジュアル面談(希望者のみ)
- 書類選考
- 技術試験
- 一次面接
- 二次面接
- 入社体験・メンバーとの面談(希望者のみ)
- リファレンスチェック
- 期待値の擦り合せ面談
- 最終面接
- オファー
ステップが多く見えるかもしれませんが、候補者の都合に合わせて複数の面接や面談を1日にまとめるなど全体のリードタイムを短くする工夫もしています。
また、コロナ禍以降は基本的に全工程をリモートで行っております。
ここからは上記の1つ1つの目的と内容を説明していきます。
カジュアル面談(30〜60分)
目的
候補者に弊社の事を理解して頂き、選考に進むうえでの不明点を無くしたうえで興味を持てるかを判断して頂く
担当
開発組織の責任者(私)もしくは希望があった場合は他のエンジニア1,2名
内容
選考要素の無い「カジュアル面談」もエンジニアが担当します。 基本的に私が担当することが多いですが、希望によってはチームのメンバー数名でお話することもあります。
カジュアル面談では簡単な自己紹介をした後に特に話したい事を候補者の方に確認し、それに応じて説明の内容を調整しています。
説明用のスライドを用意しており、基本的にはそれを見ながら話をして気になる箇所があれば随時聞いてもらうようなスタイルで進めています。
主な内容は以下のとおりです。
- 会社概要
- ビジョン・ミッション
- 事業内容
- 開発で注力していることや課題
- プロダクトごとの開発チーム体制、利用技術、開発の進め方
- 開発組織全体の文化
- 技術広報
- 合宿やLTなど社内での活動など、最近の取り組み
一通り話した後に改めて全体を通して質問を聞いて、そのあと時間があれば弊社から以下のような質問をさせて頂く事が多いです。
- 転職活動状況(情報収集か積極的に活動しているのか)
- 活動中の場合はどんな軸で企業を見ているのか
- 好む環境やカルチャー
- 中長期でやりたいこと、なりたい像
- 得意な技術、興味のある技術
ただ人によってはひたすら技術の話で盛り上がって終わるケースがあったりと、特に上記の内容にこだわっている訳ではありません。
「目的」にも書いていますが、カジュアル面談では候補者の方に弊社のことを良く理解していただき、そのうえでマッチするかどうかや興味が持てるかどうかを判断頂くことが一番大事です。 それが達成できればどのような内容でも良いと考えています。
書類選考
履歴書や職務経歴書を提出していただき、それをもとに選考を行います。 コーポレートサイトからの直接応募の場合やエージェントさんからの紹介の場合などは書類選考から開始になる場合が多いです。
技術試験(90〜120分)
目的
候補者がどの領域にどのようなスキルや知識があるかを事前に判断するための材料とする ※この試験自体での合否は出していません
担当(結果の確認)
一次面接の担当者
内容
オンラインで自宅等で受験可能な外部サービス(track)を利用しています。 試験の内容は
- 主に知識を問う選択問題
- プログラミングスキルを確認するコーディング問題
- これまでの経験や知識を確認する記述式問題
の3つです。 採用ポジションや時期によって内容を変更しています。
候補者の負担になるため辞退率が上がる懸念もあったのですが、今のところそこまで辞退率への影響は無いようです。
まだ始めて3ヶ月程度で試行錯誤中ではあるので、目的も含めて今後変わる可能性があります。
一次面接(60分)
目的
候補者が募集中のポジションで活躍出来るスキルや経験をお持ちなのかどうかを判断する
担当
お任せする予定のプロダクトのエンジニアリーダーとエンジニアメンバーの2名
内容
技術試験の結果やレジュメなどの話をもとに候補者のスキルやご経験を確認します。
技術試験の結果に関しては、なぜこのように回答したのか・他にはどんなケースが考えられるかなどのようにディスカッションも交えてお話させて頂き、実際に一緒にお仕事をする際にどのようなコミュニケーションをとることになるかも確認させて頂いています。
二次面接(60分)
目的
候補者が弊社のカルチャーにマッチするかを確認する
担当
お任せする予定のプロダクトのプロダクトマネージャーと担当役員の2名
内容
主に人間性や考え方・行動力・価値観などを知るための質問が中心になります。
判断基準としては以下の4つの行動指針(社内ではそれぞれの頭文字をとって「SOCS」と呼んでいます)を基準として弊社のカルチャーにマッチするかを判断させて頂きます。
- SmartThinking
- 仮説思考・本質思考
- 先見性と創造性
- Ownership
- リーダーシップ
- 主体性
- Collaboration
- 社内・社外共創
- Speed
- 実行スピード
- 生産性(質/時間)
リファレンスチェック
目的と内容
過去一緒に働いたことがある方からアンケート形式でお仕事ぶりや人物像をお伺いし、面接だけでは把握しきれない側面を理解する目的で行っています。
弊社ではbackcheckという外部サービスを利用しており、弊社の事例を紹介して頂いた記事もありますので興味がある方はご覧ください。
※エンジニア職の事例ではありません
なおリファレンスチェックの結果のみで採用判断を行うことはありません。
入社体験、見学
目的
面談や選考での印象と実際の業務中の様子にギャップが無いかを確認し入社後のイメージをつけて頂く
担当
受け入れ予定のチーム全体
内容
以前は1日がっつりスケジュールを組んで業務体験や会議への参加をして頂いていましたが、最近はスクラムの一部のセレモニー(スプリントレビューや振返りなど)に参加して頂く事が多いです。 入社体験用のプログラムを作って参加して頂くよりも普段から行っているセレモニーに参加して頂く事で
- チームやプロダクトの課題
- 今やっていること
- 普段のチームでのコミュニケーション
などが良く伝わるのではないかと考えており、実際に参加者からもそのようなフィードバックを頂いています。
期待値の擦り合せ面談(15分〜30分)
目的
入社後に求める役割や中長期でのキャリア、働き方などの条件がマッチしているかを擦り合せする
担当
開発組織の責任者(私)
内容
選考要素が無い面談です。 二次面接以降で最終面接までのどこかのタイミングで実施します。面接と同日に行う場合もあります。
弊社からは改めて期待する役割や弊社での中長期のキャリアイメージについて話をさせて頂きます。 基本的にはここまでの選考の中で確認は出来ている想定ですが人によって選考の初期の段階から変わっている場合があるため、この段階で確認し擦り合せを行います。
最終面接(30〜60分)
目的
事業の方向性や経営者との目線合わせ
担当
CEO
内容
弊社の事業の方向性や経営視点での開発に対する期待などをお話させて頂きます。
1年前と変わった点
ここまでが現在のフローでした。 ここからはどこが1年前と変わったのか、そして変えた結果どうなったのかについても個別に紹介していこうと思います。
各面接での目的を明確にした
以前は面接ごとの目的は特に決めず、一次で聞き切れなかったことを二次で聞いて候補者の理解を深めていくような進め方でした。 ただ一次と二次の面接官同士での質問内容の確認コストがかかったり、合否の基準が曖昧になるなどの課題があり現在の形に変えました。
現在の形に変えてからはそれぞれの面接で何を話すかが明確になり、短時間で効率よくかつ深い話が出来るようになりました。
技術試験を始めた
レジュメでは分からないような得意/不得意や課題へのアプローチ方法が面接の前段階である程度把握できるようになり、以前よりも面接の時間を有効に使えるようになりました。 まだ始めたばかりなので適宜見直しつつ改善していく予定です。
性格診断を無くした
正確には選考中のフローからは一旦外しました。 技術試験を始めた事と、リファレンスチェックがそれなりに時間がかかる事、それらに加えて性格診断も実施するとあまりに候補者の負担が大きいことからエンジニア採用に限っては性格診断は実施しない事にしました。
性格診断自体は配属後の業務内容や活躍イメージがしやすくなるため有効ではあるものの、リファレンスチェックでも同じような効果が望める事も実施をやめた理由の一つです。
説明資料をアップデートした
一年前と組織の人数や体制、会社やプロダクトの状況が変わっているため、カジュアル面談で使用している説明資料を何度かアップデートしました。 説明しながら伝わりにくい点や自分が話づらいと感じる点は随時改善しています。
マネーフォワードグループにジョインした
昨年の11月にマネーフォワードグループへジョインしました。 採用フローに大きな影響があったわけでは無いのですが、会社としては一番大きな変化でした。 候補者からも影響や変化についてよく質問して頂きます。
開発組織としては
- グループ内の技術面・組織面のノウハウを得られる
- 技術的な課題の相談ができる
- 内部の勉強会など学べる環境が広がる
- 技術系のイベントを共催できる
などがメリットとしてありました。
選考がリモートで完結するようになった
紹介したフローは基本的に全てリモートで行っています。 8月に入社したメンバーとは入社後に初めて対面で話しました。
今のところお互いに入社前後でネガティブなギャップは感じていないので、リモートのみでの選考でも問題ないと感じています。
とは言え候補者にとっては会社の雰囲気を知るためにオフィスを見たいという気持ちもあるので、その場合はオフィスでお話する機会を作ることもあります。
オンボーディングが整備されてきた
昨年の記事以降、入社後のオンボーディングについて全社的にも開発組織的にも整備が進み、入社後に出来るだけ早く成果を出して頂けるような仕組みが出来てきました。
例えば入社後の最初の2週間はメンターが1on1を毎日15分行い、業務外も含めて分からない事や困っている事がないかを確認するようにしています。
また、タスクもなるべく本人が成果を出しやすいものからアサインし、本人が自信をつけると共に周囲にも成果を出せるという事を見せられるようなお膳立てをすることを意識しています。
通常でも転職後すぐに成果を出すことは難しい事なので、リモート中心となった現在は今まで以上に新入社員の方へのサポートに注意を払っています。
コーポレートサイトにエンジニア採用ページができた
メンバーからの提案で人事やデザイナーの協力のもと素敵な採用ページを作って頂きました。
今まで弊社のコーポレートサイトには募集求人ごとのページはあったものの、開発組織を紹介するようなページはありませんでした。 そのため簡単に説明することが難しかったのですが、これが出来たことによって社外の方にもURLをお渡しするだけで良くなり、開発組織の全体観を伝えやすくなりました。
まとめ
スマートキャンプの採用フローを一年ぶりに紹介しました。
「採用後の活躍がゴール」という意識は変わっていませんが、それに至るまでのプロセスは常に改善し続けています。 改善の過程では私だけでなく他の開発メンバーも一緒に日々試行錯誤しています。
チームや事業のため、更には候補者により良い体験をしてもらうために、採用活動に主体的に取り組んでくれているメンバーには感謝しかありません。 今後もチームで協力して採用活動に取り組んでいきたいと思います。
ここまでの記事を読んで弊社の話を聞いてみたい!と思った方は、ぜひお気軽にご連絡ください。
[再掲] smartcamp.co.jp