スマートキャンプ、プロダクトマネージャーの郷田です。
弊社スマートキャンプのセールスチームに、開発チームで行っているKPTによる振り返りを導入してみました。
この記事では実際にKPTを導入するまでの背景と流れ、また実施してみたセールスチームからの感想を紹介いたします。
きっかけ
ある日に1日かけて、ボードメンバーとセールスチームのマネージャー数名と共に、BALES(自社サービス)の現在のアウトカムの設定・ターゲットの詳細化・仮説の設定などを行うMTGでファシリテーターをさせていただく機会がありました。
ディスカッションの準備から関わらせてもらったため、参加されてた方からは「フレームワークを使いふわっとしたことを整理するのが得意な人」と認識していただき、別の議題について相談していただいたのがKPT導入のきっかけとなりました。
何ができるか考える
今回の相談は、「営業シナリオを考え直したいので、良いフレームワークを教えてほしい」です。
なので、フレームワークとなりそうなものをいくつかピックアップして提案してみましたが、あまりしっくりきません。
私のバックボーンがエンジニアということもあり、セールスチームから言われたことがそのまま本質的に困っていることなのかわかりませんでした。
そこで、30分程度のヒアリングの時間を頂いて、以下のやりたいことがわかってきました。
- セールスチームの一人ひとりは十分に活躍しているが、チームとしての成果も最大化していきたい。
- 営業業務の成果最大化に向けて効果的に取り組めることを探したいため、他部署などの知見を取り入れていきたい。
これらを元に、「チーム内で課題感を効率的に共有できるようにする」「開発チームで行っているKPTの知見をセールスチームで試してみる」ことを実施することとしました。
やってみた
セールスチームが集まって話せる時間を2時間頂いたので、時間内で効率的に課題を共有するために「心理的安全性の説明」と「リーンコーヒー」を実施しました。
また、会の最後に「継続的にKPTをやってみないですか?」と提案をさせていただき、翌日から毎週1時間の「KPT」を実施しています。
心理的安全性の説明
数ページのスライドを元に、心理的安全性の説明をしました。
セールスチームの心理的安全性が担保できていないから説明したわけではありません。
チームには心理的安全性という概念が内在していること、またそれがチームパフォーマンスに影響していることを認識してもらうために説明をしました。
心理的安全性の詳細に関しては今回は割愛します。
実際に説明をしてみたところ、強く頷いていただいたタイミングが何度もあり、納得感を持てていただけている様子も伺えたため、この先の振り返りの価値を感じてもらう準備として良い効果を感じました。
リーンコーヒー
「チーム内で課題感を効率的に共有できるようにする」ためにリーンコーヒーが効果的ではないかと考え、2時間のうち多くの時間を費やし実施しました。
今回リーンコーヒーを選んだ理由としては以下です。
- 自分の抱える議論したい課題を参加者一人ひとりが洗い出せる
- 自分と他人のトピックが比較できるため、共通の課題でも役割による視点の違いなどが明確になる
- 1議論が長くても10分程度で打ち切られるため、その場で出た各トピックについて網羅的に話せる
最初の相談時にいただいた「営業シナリオを考え直したい」という課題もここでトピックとして出されていて、すごく良いことだと感じました。
チームが抱えるすべてのトピックを比較した上で議論したいトピックを全員で決めるため、チームで一番話すべきことを話せている確証を全員が持てるためです。
自己組織化が進んだチームほど、他と比較して優先度が高いと思えない限りは「これが課題だ!」と言われても今対応するべきか疑ってしまいがちです。
リーンコーヒーの流れや話した内容の詳細は、BALESのコラムで紹介されていますので、こちらも合わせてご覧ください。
https://bales.smartcamp.co.jp/article/blog-5bales.smartcamp.co.jp
KPT
開発チームは普段スクラム開発を中心としており、1年間継続と改善を繰り返してきています。
「開発チームで行っているKPTの知見が広く通用しうるかセールスチームで試してみる」という意味も含め、セールスチームに対して週1回のKPTの導入を提案し、私がファシリテーションする形で取り入れさせてもらいました。
KPTを選んだ理由としては以下です。
- セールスの定例報告ではない、チームパフォーマンスを上げるための振り返りとして使いやすい
- だれもが理解しやすいフレームワークなので、継続しやすい
KPTに関しては説明に利用したスライドを画像で貼っておきます。
心理的安全性の説明とリーンコーヒーを実施した後にKPTを実施したため、参加者もディスカッションに慣れた様子で、この順番でフレームワークを導入して良かったと感じています。
現在、初回から3週間がたち合計3回KPTを行いましたが、チームパフォーマンス向上という意味での効果は早速出始めているのでは?と感じています。
セールスチームによるKPTの感想
セールスチームから感想を頂いているので紹介させていただきます。
・メンバー各自が感じてる課題をアウトプットし共有できるので同じ方向を見て業務ができるようになった
・メンバーの課題や改善点、ネクストアクションをチームで共有することでお互いが意識して指摘できる環境になった
・自分自身とメンバーの共通した課題に気づき、改善の必要性を強く認識できるようになった
・自分にはないマネージャー目線のproblemを知り、全体最適を考えるようになった
・アウトプットの機会が増え、サービスとしての課題等、これまでより視座高く問題を捉えられるようになった
・週1で振り返りの場があることで、小さな気付き(良い点/悪い点)も意識できるようになった
・次週の同じ場でTryの不出来を指摘されないように課題に立ち向かう意識が変わった
・日頃のふわっとした考えを言語化することにより、脳内整理ができるようになってきた
・ネクストアクションが明確になり、まだ数回しか実施してないものの進捗できている感じがする(定量的な成果はまだないですが、、)
感想を読むと、振り返りそのものの良さと、チームによる振り返りの良さが十分に感じてもらえているように思いました。
また、良い感想を頂けてとても嬉しく思っています。
セールスチームに導入してみて
事業運営に携わる人は開発チームに限らず「不確実な世の中」でも「確実な成果」を求められる仕事をしているため、短い期間で振り返りを実施できる文化がチームにあることは、KPTに限らずとても良い効果が期待できると感じました。
私個人としては自分の所属するチーム以外にKPTを導入するのは初めての取り組みではありましたが、一定の効果がありそうだと感じているため今後も継続していきたいと思っています。
この先のセールスチームKPTでは、ソフトウェア開発とセールス現場という特性の違いを認識して、継続していく中でKPT以外のフレームも検討しつつチームにあった振り返りの場に改善していければ良いかなと考えています。
まとめ
今回の紹介は以上になります。
アジャイルな考え方が開発チーム以外にも適用される一例として見ていただき、各社のセールスチームやその他チームにもKPTが導入されるきっかけとなれば幸いです。